元気パンダの漢方日記
国際中医師の資格を持つ薬剤師が、漢方医学の知見や日々の出来事、趣味のパンダコレクションの紹介をするブログです。






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中医学とアレルギー

皆さん、こんにちは。
昨日の水曜日(9月17日)に「イスクラ中医薬研修塾」で、第5回目の講義を行なってきました。今回は「中医学とアレルギー」というテーマです。

1、アレルギーとは
私たちの身のまわりには、体に合わない食品や環境ホルモン、ダニ、ほこり、花粉などアレルギーの原因になる物質が数多く存在しています。体に侵入してくる異物を抗原と呼び、それに対する防御物を抗体と呼んでいます。抗体は抗原を迎え撃って破壊することにより、最終的に抗原は体から排除され健康が保たれます。体内の免疫細胞のバランスが取れているときにはアレルギー症状はおきませんが、ストレスや不摂生などにより免疫のバランスが崩れると、過剰な反応が起きてアレルギー疾患になると考えられています。抗体は分子構造の違いからIgM、IgD、IgG、IgE、IgAの5つのクラスに分けられますが、アレルギー反応を起こすものは主にIgEと呼ばれる抗体です。IgE抗体を産生しやすい人はアトピー素因を持っているといわれ、遺伝する傾向があります。アレルギー疾患は数多くありますが、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、気管支喘息、花粉症などが広く知られています。

2、アレルギーマーチとは
同じ小児に時期(年令)によって、いくつものアレルギー疾患が次から次へと現れてくる現象をアレルギーマーチといいます。典型例では家族にアレルギーの遺伝があり、生後に乳児湿疹、アトピー性皮膚炎に始まり、喘息様気管支炎を繰り返し、次第に気管支喘息に移行していきます。アレルギー性鼻炎を併発することもあります。気管支喘息やアトピー性皮膚炎の一部は自然治癒せずに成人型に移行します。乳幼児期の病状は必ずしも持続するのではなく、一部は自然治癒することもありますが、近年は以前に比べて自然治癒せずに成人型に移行するケースが増えています。

3、中医学のアレルギーに対する考え方
西洋医学ではアレルギー疾患は原因物質(抗原)を重視し、原因物質を除去することを最優先しています。一方アレルギー物質があってもアレルギーを発症する人と発症しない人がいます。中国漢方では発症しやすい体質を重視し、アレルギー物質があっても発症しないように体質を改善することを治療の目的としています。
さて、西洋医学では皮膚粘膜の抵抗力、腸管や胸腺の状態、自律神経のバランスなどがアレルギー疾患と関係が深いと考えられています。
これを中医学で考えると皮膚粘膜の抵抗力は肺衛気、腸管の状態は脾気、胸腺の状態は腎精、自律神経のバランスは肝気と関係があります。また、中医学では「血液が良く流れると風(アレルギー)は自然に消滅する」という考え方があります。自然界でいえば「きれいな水にはばい菌が住まない」ということとも共通します。
つまり五臓の働きが健全で血液がサラサラであれば免疫のひずみが起きにくく、アレルギー疾患になりにくいと考えられます。

4、アレルギー疾患の治療法
アレルギー疾患の治療法には大きく2つの方面があります。

①症状や体質より判断して肺、脾、肝、腎の臓腑のひずみを改善する。
②体内に滞っている抗原や抗原と反応した炎症物質を排泄する。

①は中医学の臓腑理論と気血理論より生体のひずみを判断して、そのひずみを元に戻します。この方法は比較的症状が落ち着いているときの体質を改善に効果的です。

肺気を強化して皮膚粘膜を丈夫にする:衛益顆粒など
脾気を強化して腸を丈夫にする:補中益気湯、六君子湯、参苓白朮散など
肝気を整えて自律神経を調節する:加味逍遥散、小柴胡湯など
腎精を補い胸腺・副腎を強化する:六味丸、参茸補血丸、イーパオなど
淤血を改善して血液をサラサラにする:冠元顆粒、涼血清営顆粒、通導散など

②は日本で創設された一貫堂医学による治療法が効果的です。一貫堂医学は金元四大家の劉河間、張子和の寒涼、攻下の考えを受け継いでおります。一貫堂医学を応用すると、抗原や抗原と反応した炎症物質が何らかの毒(熱)になり、気血の流れを乱してアレルギー疾患が発病すると考えられます。そしてこの毒を排泄することにより治療します。急性期の症状の改善と同時に慢性期にも体質改善の効果があります。一貫堂医学では患者の体質を解毒証体質、臓毒証体質、淤血証体質の3つに分けています。

解毒証体質(肝臓の解毒作用を必要とするいろいろな体毒を持っている体質)
大部分は父母より遺伝される。幼年期にアレルギー疾患や気管支炎にかかりやすいが、青年期~壮年期になると改善することが多い。一般に浅黒い皮膚の色を呈し、骨格は痩せ型・筋肉型が多い。
代表方剤:柴胡清肝散、荊芥連翹湯、竜胆瀉肝湯など
臓毒証体質(風毒、食毒、水毒などの新陳代謝障害物が各臓器に蓄積した体質)
都会の美食家に多い。皮膚の色は黄白色で骨格はたくましく脂肪型または筋肉型が多い。青年期~壮年期までは比較的健康で壮年期以降に脳溢血、動脈硬化、腎疾患などの危険が多い。
代表方剤:防風通聖散、温胆湯など
淤血証体質(淤血を血管内に保有する体質)
一般に肥満している婦人に多いが、痩せている人や男性にもみられる。大部分が赤ら顔またはつやのない顔色で、爪の色が暗赤色である。頭痛、頭重、眩暈、耳鳴、肩凝り、動悸などの症状を訴えることが多い。
代表方剤:通導散、冠元顆粒など

*実際に治療する際には①による臓腑気血の調整と②による毒素の排出を、そのときの病態にあわせて様々に組み合わせます。中国医学と一貫堂医学とを融合させて体質診断を行うことにより、大変よい効果が得られます。

5、まとめ
中医学の五臓を調節して気血の流れを調節する方法と一貫堂医学の毒素を排泄する方法をうまく組み合わせると、症状の改善と同時に体質改善を行うことができます。一貫堂医学では体質を解毒証体質、臓毒証体質、淤血証体質の3つに分けていますが、特に解毒証体質と臓毒証体質がアレルギー疾患に深く関係しています。
解毒証体質は小児の頃からアレルギーを繰り返す体質です。従来は成人になると丈夫になり治っていたのですが、近年は成人になっても治らないケースが増えています。臓毒証体質は食生活の乱れとの関係があり、肉食や甘いものなどの食べ過ぎて食毒が体内に蓄積している体質です。従来は美食を好む大人に多かったのですが、近年は子供にも見られるようになりました。
上記の方法で症状が改善した例を一部紹介します。
5歳のM君は生後6ヶ月からのアトピーです。ステロイド軟膏を使っていましたが、だんだん効かなくなってきました。解毒証体質と判断して荊芥連翹湯に瀉火利湿顆粒をあわせて2ヶ月の服用で症状がかなり改善しました。
20歳のI君はかなりがっちりとした体型です。以前より首~背中にかけて湿疹を繰り返します。臓毒証体質と判断して防風通聖散と瀉火利湿顆粒をあわせて半月の服用でほぼきれいになりました。
このように一貫堂医学と中国医学を融合して体質診断をしっかり行い、適切に漢方薬を組み合わせると各種のアレルギー疾患に大変良い効果が得られます。

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国際中医師の資格を持つ薬剤師が、日々の漢方相談で感じたことを通じて、正しい漢方医学の知識の普及を目指しています。また、趣味で集めているパンダコレクションも紹介する、楽しいブログです。
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